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Daisen Workhut

「自然を翻訳するハナレ」

通常「離れ」とは、母家と同一敷地内に建つ別棟建物のことであるが、この「離れ」は母家から遠く離れた別の敷地に建っている。母家に足りない機能を傍で慎ましく補うような一歩下がった「離れ」ではなく、自然の雄大さを自ら感受しつつ、時に自然の厳しさと対峙しながら仕事をし、生活を営むことを目的とした、建築として自律した「ハナレ」の計画である。

敷地は鳥取県の大山中腹に位置する、田畑や牧草地に囲まれた自然豊かな地域。計画に先立ち、敷地周辺の切妻屋根の小屋群を調査したところ、外面、とりわけ屋根の劣化した建築が多くみられた。この地域は冬場には積雪 1m 近くを観測する豪雪地帯で、その屋根に対する影響は想像に難くなかった。実際、この建築の工事においても 、11 月に着工はしたものの、積雪よってすぐに現場がストップしてしまったほどだ。その豪快な降りっぷりの雪への対策として、屋根は勾配を 10 寸とり、軒の出と建物の位置を調整することで、前面道路との境界斜面に落雪を促すことにした。この軒の出は内部空間にも大きく影響しており、前面道路上空を走る電線と室内空間との関係を遮断し、同時にその背面に控える山の緑をトリミングする。また片側の天井面に等間隔に設置した LGS は、暗くなりがちな小屋組を、連続窓から入射する外光のバウンドで仄かに照らす。太陽光の色調によってLGS の表情も微細に変化するので、窓越しの風景と合わせ、室内にいながらも一日の流れを感じ取ることができるだろう。

この「ハナレ」にとって天井-屋根は、自然との交感を豊かにする一方で、自然の脅威から人間を守るという建築本来の役割を思い起こさせてくれる。

PROGRAM: Detached House
AREA: 39m²
LOCATION: Seihaku, Tottori
STRUCTURAL ENGINEER: Sato Design
BUILDER: Kadowaki Construction
PHOTOGRAPHY: Yosuke Ohtake
PUBLICATION: 新建築住宅特集2021年12月号